長寿村とされているアンデス山脈のビルカバンバ、その健康の秘訣

コーカサス地方、パキスタン北部フンザと並んで世界3大長寿地域の一つとされている村に、エクアドルのビルカバンバという村があります。

ビルカバンバは長寿村とされていますが、実は調査対象者の自称年齢の曖昧さが指摘されていて、100歳以上の人が思ったほどいないようです。長寿の秘訣として、粗食という点では一致しているが気候に関しては共通していません。

いろいろな情報が飛び交っていて、今でもビルカバンバが長寿村と信じている人もいますが、根拠がなく、信ぴょう性がないと疑っている人たちも多いようです。

それでも、1950年代にビルカバンバが長寿の村とうわさになり、世界中から調査団が訪れて来たほどです。うわさになるぐらいですから、それなりの理由があっていいはず。

調査対象者が自称年齢を偽っているかもしれませんが、それでも彼らの生活スタイルがどんなものか知るのも、世界の長寿の秘訣を知る上で少しは参考にはなるかと思います。

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長寿村と呼ばわる理由

由来

1955年に米誌リーダーズ・ダイジェストがビルカバンバには心臓病と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の患者が少ないという記事を載せたのが事の始まりです。日本を含む世界各国の多くの医師がこの地に調査しに来ました。

その結果、他の地域に比べて長寿者が多いことが確認できたと発表。その理由はミネラルが豊富な水や、脂肪と塩分摂取が少なく、カロリー摂取が先進国の半分という、粗食の食事が長寿の秘訣と主張

もっとも、その後の調査で100歳以上の人たちの自称年齢に証拠がないことがわかる。それでも、いまだに世界三大長寿村の1つと数えられている。

環境

ビルカバンバという村は、アンデスの山々が連なる南米エクアドルに位置しています。海抜4000メートルにあるアンデス山の5つの谷からなっています。インカ帝国の時代には、住民からは「聖なる渓谷」と呼ばわれていました。

赤道直下だが標高約1500メートルのアンデス山中にあり、年間を通じて温度が変わらず、寒すぎず、暑すぎない。気候は一年中を通して温暖なため、一年中新鮮な野菜や果物が採れます。

ビルカバンバの西側に位置するアンデス山脈から氷河が流れ、自然の恵みが豊かなため秘境としてその名が世界に広まりました。

村人はそのミネラルが豊富に含まれている氷河から流れでる水を利用し、灌漑(かんがい)をおこなっています。コーカサス地方の長寿の村とされている地域でも、氷河から流れ出る水を活用している点では同じです。

その土地で育つ植物が豊富なミネラルを吸収し、それらの植物を野生動物や家畜が食べる。ミネラルはさらに、動物の体内でコロイド化(低分子化)され、人の細胞内に入り込みやすくなるように変化します。

このようなサイクルで、村の人たちは現代社会に不足がちなミネラルを摂取しています。この点ではコーカサス地方と同じで、健康の秘訣と1つとされています。

伝統的な食文化

ビルカバンバの村の人たちの1日の摂取カロリーは1200~1800カロリーで、日本人の半分だと言われています。

主食はトウモロコシといも

ビルカバンバでもコーカサス地方と同じく主食はトウモロコシ。トウモロコシは元はアンデスが産地で、昔から南米の人たちにとってなじみのある食べ物。

トウモロコシ以外にもユッカという芋が主食として食べられています。トウモロコシとユッカは日本でいうお米としての役割を果たしています。日本では健康に気を配っている人は、ご飯に雑穀を混ぜていますが、ここビルカバンバでも雑穀としてあわやひえのような野生の植物を食べているのです。

野生の植物にはタンパク質が豊富に含まれています。特に、チョチョスという豆はタンパク質だけでなく、カルシウムも豊富に含まれています。

こうしてみると、大地の恵みをたくさん摂ることがやはり健康の基本で、世界中どこも共通していることに気が付きます。植物から上質なタンパク質とカルシウム、カリウム、食物繊維を多く摂れば、多少の動物性タンパク質や塩分を摂ったこところで血圧が上がるようなことはなさそうです。

フレッシュチーズのケソ

発酵乳やチーズはどこの長寿村でも見かけます。作り方は地域によって違いはありますが、タンパク質とカルシウムが摂れるという意味では共通しています。ここ、ビルカバンバも例外ではありません。現地では「ケソ」と呼ばれているチーズがあります。

40度ぐらいに温めた牛乳に、牛の十二指腸から取ったエキスを混ぜて作ったものです。一時間ほど放置しておくと、牛乳のタンパク質が固まり、豆腐のようなフレッシュチーズができあがります。味はあっさりとしていて、市場ではバナナの葉に包んで売られています。

各家庭ではケソを日本の味噌のようにスープに入れたり、炒め物やサラダに使ったりと、様々な料理に入れられます。

ケソには上質なタンパク質をはじめ、カルシウム、ビタミン、乳酸菌など、生活習慣病や老化の予防に役立つとされる有効成分が豊富に含まれています。

市販の牛乳はホモジナイズ、高温殺菌などで処理されているので、私自身は正直言って健康食とは思えません。おまけに、動物脂肪で脂肪分も高い。昔ながらの伝統な製法で作られているものを少量を食べるのなら構わないと思いますけど。

モルモットを丸ごと食べる

世界各国にはさまざまな変わった食べ物があります。日本ではクジラ、フランスではカタツムリ、東南アジアではコウモリ、中国では何でもありですが、ビルカバンバでもやはり変わった食べ物があります。

それはクエというモルモットの一種。一般家庭では台所でペットのように飼っています。

食べ方は丸ごとゆでて、毛を抜いたものをフライにして食べます。実は、面白いのは食べ物だけではなく、その食べ方にもあります。

クエを頭からしっぽまで丸ごと食べるのです。沖縄の豚肉の食べ方と似ていると思いませんか?頭はもちろん、内蔵も足もきれいに全部食べます。このサイトでも完全食をオススメしていますが、ビルカバンバのこのクエを食べる習慣はまさに完全食そのもの。

日本人は小魚を頭からしっぽまで丸ごと食べていますよね。タンパク質から、カルシウム、目の裏にあるDHAも一緒に摂れるところにメリットがあります。

クエにも血圧を下げる働きのあるタウリンが内蔵にたくさん含まれているため、内蔵ごと一緒に調理して食べることはとても理にかなっています。

まとめ

長寿村と騒がれていただけあって、村の人々が長生きできるだけの要素は揃っています。100歳だと年齢詐称しているお年寄りが実際は80何歳だったとしても、それはそれで医療機器が先進国ほどそれっていない割には長生きしている方でしょう。

たとえ、自称年齢がはっきりしていなくても高齢には間違いありません。彼らの血圧が低いことや、運動してもらった後の心拍数がそれほど上がらなかったことからも、とても健康であることがわかったそうです。

ビルカバンバの健康の秘訣は食生活にあることがよくわかります。

  • 食物繊維、カリウムが豊富なトウモロコシやいも(ユッカ)主食としている
  • 良質なタンパク質、カルシウムが含まれているあわ、ひえ、チョチョス豆をよく食べる。
  • 新鮮な野菜や果物が豊富。
  • タンパク質、カルシウムが豊富なフレッシュチーズ、ケソを食べている。
  • ミネラルが豊富な氷河の水の恩恵を受けている。
  • モルモットの一種であるクエを頭からしっぽまで丸ごと食べる、理にかなった完全食。

ベースは沖縄の長寿食に似ている気がします。

大地の恵みから栄養をたくさん摂っているという点、動物を無駄なく食べるという点は本当に似ています。

採れる自然の恵みがビルカバンバと沖縄とでは違いはありますが、その地域で昔から採れるもの、食べられているもの、その地の独特な調理法などが実は健康によいものがたくさんあります

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