一般的にお酒は体に悪いといわれているのに、赤ワインだけは特別扱いされています。そう言われてきたのはフランスではバターをたっぷり使った料理が多く、肉もたくさん食べているのにもかかわらず、心臓疾患が少ないのは赤ワインを日常的に飲んでいることが1つの理由に上げられています。
野菜をたっぷり使ったラタテューユで有名な地中海料理は別として、一般的なフランス人の食生活は少し違います。朝はバターをたっぷり使ったクロワッサンや菓子パンで済ます。昼と夕ご飯の食事はステーキにフライドポテト、パスタなどと意外と簡単な食事が多いようです。
糖質、脂質を多く摂取していれば本来なら動脈硬化が起こり、心臓疾患で亡くなる人が多くなるはずです。しかし、不思議なことに寿命ランキングではフランスは常に上位に入っています。そのため、この矛盾を「フレンチパラドックス」と呼ばれるようになりました。
フランス人の寿命が長いのは本当に赤ワインのおかげなのでしょうか?少し疑問に思いませんか?なにか、うさんくさいような気がするんですよね。根性がひねくれているので、裏に金儲けが関わっているのではないかと疑ってしまうのです。
赤ワインの成分
まずは赤ワインがそもそも体にいいのかどうかを見てみましょう。
赤ワインの健康成分は何といってもポリフェノール。白ワインとの違いは、赤ワインは皮ごと使って製造します。この皮には色素成分であるアントシアニンやレスベラトロール、渋みを作り出すカテキン、タンニンなどのポリフェノールが含まれています。ファイトケミカルの一種であるポリフェノールには強い抗酸化作用があります。
その効果
ポリフェノールにある抗酸化作用のおかげで、さまざまな病気、特に生活習慣病の防止に役立つと言われています。
- 動脈硬化の予防
- 血栓を抑える
- 心臓疾患リスクの減少
- 記憶力が回復し、アルツハイマー病、パーキンソン病などにかかりにくくなる
- 胃ガンの減少
しかし、実は体に悪い?
赤ワインの健康への効果はポリフェノールのおかげだとわかったと思います。しかし、フランス国立がんセンターがその逆の事を言い始めたのです。調べでは「赤ワインを普段から飲んでいる人は、飲まない人に比べてガンにかかる率が168%高くなる」と発表し、赤ワインを飲まないよう国民に呼びかけたのです。フランス人男性の死因のトップはガンで、特に肝ガンが多いようです。肝ガンと聞くと「やっぱりアルコールのせいか!」と思いませんか?
さて、ここで矛盾や疑問が生じることはわかりますよね。
- フランス人は高脂質の料理を食べている割には寿命が長い。
- その理由はポリフェノールがたっぷり含まれている赤ワインを飲んでいるのからではないか?
- しかし、その赤ワインが原因でガンにかかる。しかも、肝ガンでの死亡率が高い。
- すると、寿命が長いのは本当に赤ワインのおかげだと言い切れるのでしょうか?
- 他に何かしらの要因があって、その要因の恩恵でもって長生きしているのでは?
- 赤ワインを飲むことで肝ガンになる率が高くなるのは、単純にアルコールを飲むことで肝臓が酷使された結果にすぎないのでは?
赤ワインはアルコールです。アルコールを飲み過ぎれば当然、肝臓がやられます。ポリフェノールを摂取するのにわざわざ赤ワインを飲まなくても、抗酸化作用がいっぱい含まれている果物や野菜を食べればいいのではないかと思います。赤ワインは健康にいいというのは、赤ワインの製造者によるマーケティングのような気がしてならないのです。
まとめ
フランスに留学していた頃の経験からすると、フランス人の寿命が長いのは赤ワイン1つを取り上げて判断できないと思います。寿命、つまりは健康を左右するのは食事だけではありません。私は特にストレスの有無が大きく影響していると思います。
その点、フラン人はよく食べ、よく飲み(やっぱり赤ワイン?)、よく喋り、よく冗談を言い合い、笑う。フランスでは「生きるために食べるのではなく、食べるために生きる」と言われるぐらい食べることにエネルギーと愛情を注ぎます。
ストレスがあったとしても、こうして夕飯を友達、家族で一緒にお喋りしながら、食べ、お酒を飲んで、リラックスすることでストレスを発散しているのではないのでしょうか?赤ワインはその手助けをしているだけにすぎない気がします。
フランス人の健康の秘訣がここにあると私は思うのです。
「Que sera, sera!」