コーカサス地方の長寿の秘訣は本当にカスピ海ヨーグルトのおかげ?その効果と他の長寿の理由も探ってみた

世界の長寿を調べる上で常に登場してくる長寿村、コーカサス地方。旧ソ連南部、黒海とカスピ海にはさまれたコーカサス山脈一体を指します。周りはロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアなどの国がありますが、このコーカサス地方の中でも特に南に位置するジョージア(旧グルジア)が長寿者が多いと言われていますが…

コーカサス地方には100歳以上の長寿が多いと言いますが、調査対象になっている人たちの年齢は自称年齢らしい。長寿村として知られているアンデス山脈のビルカバンバも長寿村とされていますが、ここでも年齢詐称と疑われています。

ビルカバンバといい、コーカサス地方といい、情報が瞬時で伝わる今とは違い、昔は噂が一人歩きし、その途中で話が膨れあがった感じがします。

しかし、長寿村と騒がれていたわけですから、それなりに理由があっていいはずです。そんなコーカサス地方の長寿とされている人々の生活がどんなものか少し覗いてみましょう。

長生きの参考にはなるかと思います。

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特徴

ジョージアの地理的な特徴としてはまず、気候が温暖で、地形が美しいところ。自然に囲まれているので、さぞかし空気がおいしいのでしょう。排気ガスで汚染された空気を吸っている、大都市に住んでいる大半の人たちとは比べ物にもなりません。

水にミネラルがたっぷり含まれている

畑では約2500年にわたり、氷河からミネラルがたくさん含まれている雪解け水を畑に引き込むことを続けているそうです。そのため、畑にはミネラルがたっぷり含まれ、その土壌で育った植物も、もちろんミネラルが豊富に含まれています。

また、その植物を羊などの家畜の動物が食べることで、体内にコラロイドミネラルがたくさん含まれるようになります。結果的に、それらの動物からとれたミルクはミネラルが豊富なのは言うまでもありませんよね。

普段から体を動かしている

海抜1300メートル以上に位置する山脈に住んでいるため、移動には自分の足を使うことで足腰が鍛えられているのも健康の秘訣ではないかと思います。

他の長寿村にも共通することですが、歳をとっても農作業などの仕事をしていること。歳をとってから何もしないと体も脳も衰えてくるので、よく働くことで体を動かしているのが良いのでしょう。

昔ながらの伝統的な食文化

北方民族に征服されていた歴史的背景もあってか、ジョージアの人々は非常に独立心が強く、食文化も含めた伝統的な文化を大事にしてきました。山岳地帯に住んでいる村人たちは都心部から離れているので、文明の影響を受けにくく、比較的に昔ながらの生活スタイルを維持できているのだと思います。

山岳地帯で生活しているので地元で取れた穀物を、未精白の状態で食べていることを見逃してはいけません。豊かな自然で育った地元の野菜や果物、自家製のヨーグルトなどの発酵食品などの豊富な食材が健康への大きな役割を果たしています。

食生活

皮や種をまるごと食べる、完全食

山岳地帯に住むことがいいのか悪いのか、街から離れているため、入ってくる食材が限られています。そのため、主食として未精白の穀物を食べ肉や加工品などは少なく、豆や野菜を日常的に食べていることが大きいのでしょう。

もちろん、地元で取れた食材が中心です。そうはいっても、文明の波には勝てません。いずれ、これらの村にも肉や加工品が入ってくるでしょう。

果物や野菜の食べ方で特徴なことは、できるだけ皮や種も一緒に食べること。例えば、日本人はぶどうを食べる時は皮をきれいに剥いて、種も取ってから食べますが、ジョージアの人たちはまるごと全部食べます。

野菜や果物の皮にはファイトケミカル、食物繊維が豊富に含まれ、種にはコレステロール値を下げる不飽和脂肪酸が入っています。日本人は食べづらいという理由で、皮も種も外して食べていますが、豊富な栄養素をみすみす捨てているのはもったいないです。

特にプルーンはジョージアが発祥の地。「生命の実」と呼ばれているほど大切にされています。もちろん、皮ごと生で食べるだけでなく、乾燥させて保存食にもしています。

完全食が健康によいことは何度も説明していますが、ジョージアの人たちは別に科学的に知っているわけでもないはずです。昔からの生活の知恵で、体に良いことを知っているのでしょうね。

私自身がフランスに留学した当初、フランス人の同級生の家に招待された時にも同じことを体験しました。私は出されたぶどうは皮をむき、種を出して食べるのに対して、友人家族は皮も種もまるごと食べていました。

なんて野蛮なのだろうと当時は思っていましたが、実は彼らの方が健康面では正しいのだと気づいたのは大分後になってからです。

フランス人は動物性脂肪を使った西欧料理を食べている割には健康寿命が高いのは、ひとえに赤ワインに入っているポリフェノールのおかげだといわれています。なぜなら、赤ワインを作る時に皮も種も一緒に潰して発酵させているからです。潰した皮と種から栄養素が出てきて作られた赤ワインは完全食といってもいいではずです。

ヨーグルト

コーカサス地方の長寿の秘訣と言ったらヨーグルト!日本でもグルジアヨーグルトで知られています。

世界の長寿村の共通点としても牛乳を発酵させて飲んでいることが挙げられますが、ここジョージアでも例外ではありません。

ジョージアでは朝、昼、晩とこの発酵乳を飲みます。どの家庭でも自家製の発酵乳を作っており、家庭ごとに味が違うとのこと。日本の自家製の糠漬けと同じような感じでしょうか。

日本でも「カスピ海ヨーグルト」として流行っていますが、そもそも私たちが呼んでいるグルジアヨーグルトの事をジョージアではマツォーニと呼ばれている発酵乳のことを指します。マツォーニからクレモリス菌FC株を摘出して作ったヨーグルトが、カスピ海ヨーグルト。

この「クレモリス菌」という乳酸菌は生きたまま人間の腸内にまで届き、以下のような効果が期待されています。

  • 腸内環境を整えてくれる
  • アトピー性皮膚炎の改善
  • コレステロール値の低下
  • 血糖値の低下

このような効果があるとわかっているので、健康食品として今なお多くの人に愛用されているのも納得がいきます。

そんな私も、健康オタクなポーランド人の同僚の勧めでケフィア粒をもらって、家庭でヨーグルトをつくっています。市販されている牛乳が健康に良くないと思い、無調整豆乳でつくっています。ケフィア粒を500mlの豆乳に入れ、常温で1日置いておくだけで発酵し、豆乳ヨーグルトが出来上がり。

市販の牛乳ヨーグルトよりも酸味がきついですが、はちみつを足して飲むと結構おいしく飲めます。豆乳を使う難点は牛乳と違ってケフィア粒が培養しないのと、大きく育たないこと。

そのため、培養させるために牛乳を使うこともありますが、培養させるだけなので出来上がったヨーグルトは捨てます。

ケフィア粒はちゃんと管理すれば、半永久的にケフィアヨーグルトが家庭で作れます。長期で家を空ける場合は冷蔵庫に保存しておくといいでしょう。また常温に戻せは、すぐに元通りに活発になります。

グルジアヨーグルトは腐らない?

ジョージアの一般家庭でヨーグルトを作る時に使われている種菌は丈夫だと言われています。この菌は東ヨーロッパ土着の種菌で、私が作っているケフィアヨーグルトとは違います。

ケフィアヨーグルトだと常温発酵する際、長期間放置しておくと空気中の雑菌が入り込み、腐ってきます。それに引き換え、グルジアヨーグルトの種菌は入ってくる雑菌も殺してしまうほどの抗生物質の作用があるのでしょう。こうして、自然の中にある抗生物質を普段から摂っていれば、体内にばい菌が入ってきても腸内で増えるようなことはありません

肉は脂肪を落として食べる

魚が健康に良いのはご存じの通り。しかし、ここジョージアでは肉料理がむしろ多く食べられています。一般的に肉は健康に良くないと言われているのに、不思議に思いませんか?

実は、料理方法に特徴があるのです。シャシュリク(Shashlik)と呼ばれている肉料理がありますが、この料理はグルジア風バーベキューで、牛肉か羊肉を串にさして焼きます味付けに香辛料をよく使うため、塩を使わなくてもおいしく食べられます。このように焼くことで無駄な脂肪が落ち、良質なタンパク質が摂れます。

肉料理でもう一つで、大き目なピースに切った牛や羊の肉を煮たハシュラマ(Khashlama)という料理があります。この料理も、ゆでている間に浮いてきた脂肪を捨てます。シャシリク同様、このようにすればタンパク質だけが食べられます

肉料理といっても、脂肪と塩の両方をたっぷり使った西欧料理と違います。ジョージアの料理方法は脂肪を落とすだけでなく、塩を使う代わりに香辛料を使っているところが特徴です。

脂肪と塩を一緒に摂ると血液中のコレストロール値を高くするため、このように脂肪を落とし、香辛料で味付けすることが肉を食べる方法としてはとても適した方法といえるでしょう。

動物性タンパク質のとり過ぎは良いとは言えませんが、ほどほどに食べる分にはいいでしょう。肉料理と一緒に野菜などと一緒に上手に食べれば、さらに無駄な脂肪を食物繊維が吸収して排出してくれます。

ミネラルウオーター

ジョージアの長寿の秘訣の1つにヨーグルトを挙げましたが、そのヨーグルトの元になっている牛乳自体が、そもそも栄養価が高いのではないかと思います。どんな栄養素があるのか?

コーカサス山脈から流れ出る水には鉄、銅、コバルト、マンガン、モリブデン、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルがたっぷりと含まれていることがポイント。

灌漑(かんがい)により、畑にも豊富なミネラルが含まれています。そのため、ここで栽培される野菜や豆にもミネラルの成分が多いのはもちろん、そこで育った草を牛が食べれば、牛乳にもミネラルが豊富に含まれるのでしょう。

ミネラルは現代生活でもっとも不足している栄養素の1つ。ネラル不足による体調不良が増えているとも言われています。ミネラルは体内で作り出すことができないので、水や食事から摂取しなければなりません。

ミネラルがたっぷり含まれている氷河から流れ出る水を飲まば、ミネラル不足にならないのも当然です。

生活スタイル

人は1人でいるよりも誰かとつながっている方が、健康によい影響を与えるといわれています。ここ、長寿村が多くあるコーカサス地方ではお年寄りは1人で住むことはありません。大家族のもとに生まれ、そのまま大家族の中で成長し、大家族の中で年老いていきます。

食事は大家族で食べる

食事は大家族で摂ることが長寿の共通点の1つでもあるそうです。ここ、ジョージアでも例外ではなく、同じような風景が見られます。日本のようにお年寄りがたった1人で食事を摂るようなことはジョージアではありません。

皆が食卓を囲み、和気あいあいと会話を楽しみながら食べる。食事は1人で食べるよりも誰かと一緒に食べる方が楽しいですよね。

気のしれた家族で、しかも何世代にもわたる大家族で一緒に食べるのですから、毎日の食事がさぞかし楽しいことでしょう。

歳をとっても、お年寄りは農耕牧畜の経験が豊富なため、とても尊敬されています。お年寄りはきっと、食事中の会話を通じて自分たちの経験を元に、知恵を与えているに違いありません。こうして、社会に貢献していると実感でき、生きる活力となっているはずです

家族の絆

一つの家に4世代、5世代が一緒に暮らすことは珍しくありません。核家族が一般的な日本とは大違いです。

そんなコーカサス地方では、お年寄りが周りから尊敬され、大切にされているのも特徴です。家族の絆も強いため、困った時は助け合う点では昔の日本もそうだったはずです。

しかし、今のような日本では家族の絆が希薄になり、親の面倒、看護は誰がするべきかが社会的な問題にもなっています。経済的な面もありますが、都心部に働きに行く若者が増え、結果的にお年寄りだけが地方に残されるのも原因の1つ。

大家族で暮らすのが当たり前のコーカサス地方では、日本のような「孤独死」とはおそらく無縁でしょう。

環境

コーカサス地方の村々の畑では約2500年にわたり、氷河からの雪解け水(氷河ミルク)を畑に引き込むことを続けているそうです。

灌漑(かんがい)により、畑には豊富なミネラルがあり、そこで育てた植物が土壌中のミネラルを吸い上げます。その植物を羊やヤク、または家畜の動物が食べることで、羊やヤクなどの体内には植物性のコロイドミネラルがとても豊富に含まれています。

それらの動物から摂れるミルクはさらにミネラルがコロイド化されているので、体内へのミネラルの吸収率がよくなります

コーカサス山脈では普段からよく、チキン・マトン・牛肉や家畜から摂れるミルクやそれから作るチーズ・ヨーグルト・バターを食べたり、料理に使います。これらの乳製品にミネラルがたくさん含まれることは言いましたよね。

コーカサス地方の環境がもたらす恩恵で1番特徴的なのが、この氷河水から間接的に得るミネラルでしょう。

まとめ

コーカサス地方の長寿の秘訣を簡単にまとめると以下の6つになります。

  • ミネラルがたくさん含まれる氷河水を飲んでいる
  • 発酵乳を飲んでいる
  • 地元の野菜や果物をまるごと食べる
  • 脂肪を落とし、塩を使わず香辛料を使った肉料理を食べる
  • 大家族で一緒に住んでいる
  • 農作業などでよく体を動かしている

美しい景観を持ち、空気がおいしく、水もおいしい。そもそも、汚染とは無縁の環境に住んでいることが都心部に住んでいる私たちと違います。

大家族で暮らすことで、人とのぬくもりを感じて生きる

歳をとっても仕事をし、役割をもち続けることでコミュニティーに貢献している充実感を持つ。日本では生きがいを持つことが長生きをする秘訣だといわれていますが、それと同じことでしょう。

環境も生活スタイルも都会に住んでいる私たちのもとは全く違います。コーカサス地方の人々の生活スタイルを100%真似できなくても、ヨーグルトとミネラルが豊富な水を飲む飲むことぐらいはできそうです

本当に長寿村と呼ばわれてもおかしくないぐらいな生活スタイルです。年齢詐称の問題が事実でなければ、長寿村と信じてしまいそうです。

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