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動脈硬化(血管が硬くなった状態)が原因で心筋梗塞(心臓の血管が詰まった状態)、脳卒中(脳の血管が詰まったり、切れたりする病気)などの病気にかかっている高齢者の話を最近よく耳にしたり、実際に会う機会がよくあります。
血管が詰まっているため、バイパス手術をした人。テニスクラブで隣のコートで打っていた年配の方が狭心症でいきなりコートの上に倒れて、病院に運ばれた人。脳梗塞で倒れてから、体半分が思うように動かせなくなった人。たいていの人たちは50代,60代の人たちですが、中には脳梗塞で倒れて亡くなった30代の友人もいました。
日本では4人に1人は動脈硬化が原因で亡くなっています。血管の健康状態をないがしろにすると大変なことになります。動脈硬化は肝臓と同じように「沈黙の臓器」と呼ばれています。普段は血圧検査で少し高いぐらいで、他に特に何も自覚がないのにある日いきなり「ドカーン」と爆発するのです。
気づいた頃にはもう手遅れ、たとえ助かっても、後遺症が残るかもしれません。または食事制限を強いられたり、行動範囲が狭まったりしたら、ここで目指す「健康で、太く、長く、楽しく生きる」を達成できるどころか、不自由な生活を送ることになるかもしれません。
動脈硬化も生活習慣病の1つです。食事、運動を中心に生活習慣が改善できれば、それほど心配する必要はないと思います。しかし、中には「血圧が高い、食後に眠くなる」ために少し不安になっている人もいるかと思います。そういう人たちは特に血管を丈夫にする方法を実践することをオススメします。
動脈硬化の原因の1つに高血圧があげられます。自慢ではありませんが、生活習慣を改善してからは、血圧は常に上が120で下が80です。医者からは「これ以上の正常値はないくらい正常です。」と褒められます。自分が普段から実行している生活習慣は間違っていないんだなと思い、少しうれしくなります。
動脈硬化とは?
ところで動脈硬化とはいったいどのような病気だろうか?
私たちは生きるために呼吸をしています。その際に取り入れた酸素を血液が動脈を通して、体の隅々まで運んでくれます。主にこの役目を果たしているのがポンプとして働いている心臓と、心臓の動きに合わせて血管壁の筋肉を収縮、弛緩させて血液を送っている動脈です。
しかし、動脈も年齢とともに老化します。他にも、さまざまな原因で柔軟性が失われ、血管の壁が硬くなったり厚くなったりします。この状態が「動脈硬化」です。
心筋梗塞、狭心症、脳梗塞を引き起こす
年とともに血管が硬くなっていくのは、仕方がありません。しかし現代社会では、運動不足、食の不摂生、ストレスなどといったことが要因で動脈硬化を招いています。それが30代、40代で、まだまだ高齢と呼ばれるには早い世代によく見られます。
20代、30台で脳梗塞、心筋梗塞で亡くなった学生時代の友人が何人かいます。「朝起きたら亡くなっていた。ジョギングをしている途中で倒れて亡くなった」など、突然訪れるケースがほとんどです。
沈黙の臓器
動脈硬化の怖いところは、普段は何も自覚がないことです。血管は外からは見えません。長い年月をかけて、血管が詰まっていきます。そして、自分では健康と思っていてもある日倒れる。その時にやっと気づくのですが、「時はすでに遅し」かもしれません。
そうならないためにも、動脈硬化の原因を知り、血管を若返らせるために生活習慣を改善しましょう。
動脈硬化の原因
動脈硬化の原因をいくつか挙げてみますが、どれも真新しいものはありません。どれも普段から耳にする、健康に大敵なものばかりです。そう考えると、動脈硬化を防止することで、結果的に健康寿命を伸ばすことになります。
加齢による
年をとれば体の全ての細胞は老化します。血管も例外ではありません。私達を取り巻いている社会には「ストレス、食、過労、身の回りの毒素」など老化を加速させる要因がたくさんあります。生活習慣を意識して改善しない限り、実年齢以上に血管が傷つくことになります。
脂質異常性
肉類、乳製品など脂っこいものを食べ過ぎると、血液中のコレストロールや中性脂肪などの脂質の量が異常に増えます。その結果、血管の内壁にプラークというおかゆのよう沈殿物がたまります。このプラークが傷つくことで、梗塞の元になる「血栓」ができます。あるいは、血液中の脂質が増えると血液の粘度が増し、血液がドロドロになります。こうなると、血液は血管内をスムーズに流れなくなり、詰まったりします。
高血圧
血圧が高いと血管が受ける圧力が高くなり、血管内が傷つきます。その度に、血管を修復しようとし、その過程で血管が厚くなり硬くなるのです。
糖尿病
食べ物から摂取した糖分が分解されずに、血液中に大量に余ります。血液中に糖分が多いと血管が傷つき固くなります。
ストレス、睡眠不足
ストレスは現代社会でさまざまな病気の原因となっていますが、動脈硬化の原因もその1つです。しかも、このストレスが一番恐ろしい原因だと思っています。ストレスを感じると交感神経が優位になり、血管が収縮します。
睡眠不足も同じで、寝ている間に副交感神経が働いてくれるのに、寝ずに起きている時間が長いと交感神経が優位になる時間が続きます。その結果、自律神経のバランが崩れ、血管が常に収縮している状態が続きます。
喫煙
タバコは「百害あって一利なし」だと誰もが知っていること。喫煙がガンのリスクを高めことは言うまでもありません。ガンにならなくても、タバコに含まれている有害物質を排除しようとし、細胞を傷つける活性酸素が大量に発生します。血管もこれによって老化が進みます。
実は、これ以外にもタバコに含まれているニコチンに血管収縮作用があると言われています。タバコを吸うと、クラっとしたり、手足が冷たくなったりしませんか?これは血管が収縮して酸欠状態になるからです。
血管年齢を若返らせる6つの習慣
動脈硬化の原因をいくつか挙げましたが、何か気づいたことありませんか?
脂質異常症、高血圧、糖尿病も結局は食生活の乱れ、運動不足が引き起こす病気です。動脈硬化の防止、あるいは血管を丈夫にする方法は、基本的にこのサイトで書かれている生活習慣を実践すれば別に心配する必要はないと思っています。
このサイトで勧めている生活習慣を簡単にまとめてみました。
食事療法
食事療法としては「食生活の改善、健康な食事を美味しく摂って長生き」に詳しく書いてありますが、血管を丈夫にする事を目的に、特に注意してほしい事をいくつか挙げようと思います。
食事の内容も「これを食べれば血液がサラサラになる」と言われていることは、あえて書きません。一般的にそう言われている食材はあります。しかし、私はあえて気にしないようにしています。とにかく、このサイトで書かれているオススメの食材をまんべんなく食べればいいと思っています。
- 食事は野菜から食べる
食事はまず野菜から食べてください。しかもたくさん食べましょう。生野菜のまま食べればビタミン、生きた酵素がとれますが多くは摂れません。ゆでたり、蒸したり温野菜であればたくさん食べられます。さて、野菜を最初に食べる利点は?
- 野菜に含まれている食物繊維が糖質の吸収を緩やかにしてくれるため、血糖値の急激な上昇を抑えられる。
- 先に食べた野菜の食物繊維が後から入ってきたコレストロールや脂肪を絡め取って排出してくれる。
- たくさんの野菜をゆっくりかんで食べるので、満腹感が得られる。野菜の後に食べるタンパク質や炭水化物が必然的に減る。
- 米やパンなどの炭水化物の食べる量が減るため、全体の摂取カロリーも減る。
- デザートなどの甘いものは食べないことにこしたことはありませんが、食後に食べたくなりますよね。これも同じく、食物繊維が糖質を絡めて排除してくれます。
- 結果的に肥満防止、糖尿病のリスクが減ります。
- 動物性食品は控える
卵、乳製品、肉類など動物性食品を食べ過ぎると、血液中のコレストロールや脂肪を増やすことになります。血液中の脂肪が増えれば、血液の粘度が増しドロドロ状態になり、脂質異常症になるわけです。
人から出されて断れない時に、あるいはどうしても食べたいと思ったら、たまに少し食べる分には問題はないと思います。しかし、自分から積極的に食べようとは思わないことです。
- 一口30回かむ
「よくかんで食べよう」と、昔から言われていますよね。早食いがなぜダメなのか?
早食いすると血糖値が一気に上昇します。そして、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌され、今度は逆に血糖値が急降下します。しばらくするとまたお腹がすいてきます。この間隔が短くなるのです。こんな風に早食いしてれば、いくら食べてもすぐにお腹がすく。
これでは摂取カロリーが多くなるに決まっています。そうならないためにも一口30回かみましょう!かむ回数が多ければ満腹感に達するまでの食事量も減ります。唾液もたくさん分泌されるので、消化にも良い。ひょっとしたら一番簡単なダイエット方法かもしれません!
運動
動脈硬化を予防する上で、定期的な運動は欠かせません。運動でも酸素を取り込みながら体を動かす「有酸素運動」は、肥満や動脈硬化に効果があります。有酸素運動で血管が拡張し、血液循環がよくなり、血管の抵抗がなくなって血圧が下がるからです。
運動が動脈硬化だけではなく健康そのものに良いことは、言われなくてもわかっていると思います。問題は忙しい生活の中でいかに時間を確保して、定期的に体を動かせるかです。ジム、フィットネスクラブ、水泳、エアロビクス、ジョギングなどが代表的な有酸素運動ですが、準備あるいは移動するのに時間がかかります。週に2、3回するのは忙しい社会人には現実的ではありません。
ここで私がオススメするのは、ウオーキングと体幹トレーニングです。
- ウオーキングと体幹トレーニング
ウオーキングなら、別にわざわざ運動着に着替えなくても、普段着でもいいでしょう。さすがに靴は歩きやすい靴がいいでしょうけど。出勤前、退社後あるいはお昼休み時間に歩きやすい靴に履き替えて20、30分位のウオーキングならできそうではありませんか?
それと私自身が毎日実行している足腰を中心とした体幹トレーニング。ウェイトトレーニングに比べて見た目の筋肉はそれほどつきませんが、ももの筋肉、腰回りのインナーマッスルを中心に引き締まった体が作れます。ウオーキングと体幹トレーニングの組み合わせで代謝がよくなり、肥満の防止につながります。そして、肥満が大きな原因で引き起こす、糖尿病、高血圧、脂質異常症の防止になり、最終的に動脈硬化の防止へとなります。
- 下半身を鍛える
心筋梗塞や脳梗塞が起こる理由として、脳や心臓に流れる血液の量が増え高血圧となり血管が詰まるからです。ではなぜ、上半身に流れる血液の量が増えるのか?
筋肉の多いところに毛細血管が多く、特に体全体の筋肉の70%が下半身にあるため、血液の流れる量が上半身よりも下半身に多くなります。若い頃は下半身に筋肉がついているので、血液も下半身に流れます。しかし、年とともにお尻、太ももの筋肉が落ち、下半身の毛細血管が減り、そして血液は上半身へと流れるのです。
足腰を鍛えようと言われるも納得します。
腹巻きをして体を温める
血液が多く上半身に流れると血圧が上がります。また、血液の流れる量が減ると下半身に冷えが起こり、その結果、ほとんどの臓器が入っているおなかも冷えてきます。そうなると、臓器の血行が悪くなり健康そのものに悪影響を与えます。
下半身の血流をよくするには下半身に筋肉をつけるか、おなかを温めることです。下半身の筋肉は説明したように、ウオーキング、下半身と足腰を中心とした体幹トレーニングがオススメ。
おなかを温める一番簡単な方法は「腹巻き」です。おなかを温めると体の末端の足先までポカポカと温かくなってきます。ただ単に、普段から腹巻きをして日常を過ごすだけです。簡単で苦なくできるので、ぜひぜひ試してみてください。
体を温める方法として、しょうが茶と白湯を飲むこともオススメします。
詳しくはこちらを参考に。
良質な睡眠
睡眠には脳と体の疲労を回復させる役割があります。日中は体を活動的に動かすため交感神経が優位になります。体温が高く、血圧は上がり、心拍数も増えます。睡眠中はその逆に副交感神経が優位になり、体温も低く、血圧は下がり、心拍数も低下します。睡眠は心臓と血管にとっても大切な休息の時間なのです。
睡眠でも、ただ寝ればいいわけではなく、質の良い睡眠がとれるかどうかで体に与える影響も大きく違ってきます。質の良い睡眠は日中の過ごし方で変わってきます。どういう風に日中を過ごせばいいのかはこちらを参考にしてください。「眠れない、睡眠不足が解消できる3つの習慣」
禁煙
喫煙によって血管が収縮することは言いましたよね。タバコ1本吸っただけで血管の収縮が30分続くと言われています。その他に、タバコに入っているニコチンやタールなどの有害物質が体内に入ってくると活性酸素が発生します。この活性酸素は悪玉コレステロールを酸化させることで、動脈硬化引き起こします。
タバコを吸うことは肺だけではなく、血管の老化を早めることにもなります。吸っていいことありません。
ストレスをためない、こまめに解消する
ストレスは血管を収縮させるため、良くないと言いました。このストレスをためないこと、上手に解消することが、血管年齢を若返らせるための方法で、個人的には一番難しいと思っています。
なぜかというと、食事療法にしても運動にしても、自分でコントロールできます。それにひきかえ、ストレスは自分ではどうすることもできない部分があるからです。寒さや暑さによる物理的ストレス、ケガや病気のような肉体的ストレス、仕事や人間関係、失恋などによる精神的ストレス。これらのストレスは避けるのが難しいですよね。
ストレスはある程度なら避けることはできると思いますが限界があります。それなら上手に解消し、ため込まないようにする方が賢いでしょう。ストレスの解消方法は人によってさまざまです。それを1つでもいいから見つけて、1日に1回リラックスできるようにしましょう。音楽を聞く、お風呂に入る、メディテーション、なんでもいいです。簡単で、毎日できることを見つけましょう。
詳しいストレス解消法はこちらも参考に。
まとめ
これらの内容をすべて実行できるのなら、それに越したことはありません。しかし、無理にしようとすると逆にストレスに感じることもあります。少しゆるめに実行する、あるいは100%できなくも気にしないことです。食事療法もできるところから。運動、下半身の筋肉強化も少ない負荷から始める。
切れない血管、詰まらない血管、血液サラサラ、血管美人?を目指しましょう。